七節「神田お玉ヶ池」は、ようやく半世紀遅れで牛痘苗を入手した日本蘭医学界が懸命に牛痘種痘を広める物語です。長崎から分苗を受けて、早速、大坂、京都で除痘館が設立され、接種と牛痘苗継代が整然と始まります。緒方洪庵、日野鼎斎らの名前は忘れてはなりません。関西は、豪商の旦那方が、公のためならどんと金をだすという風ですから、資金面でも円滑に進んだようです。漢方医もいますが、蘭方医と並んで医業を営み、特段、政治性を帯びた集団ではありませんでした。その点、江戸よりすっきりしていました。
江戸は政治性を帯び既得権益を守る漢方医が強い勢力を保っていました。玄朴が幾度も苦渋を飲まされました。その漢方医閥に大変な不幸が降りかかります。長老三人が同じ年に死にました。一気に、漢方医閥の政治力は低下します。玄朴はこのタイミングを見て、お玉ヶ池に設備を整える動きを見せました。お玉ヶ池には後年、千葉習作が北辰一刀流の道場を構え、尊王攘夷論者の剣客が多く出たところです。
玄朴の施設構想では、牛痘種痘を実施する一方で、蘭方医学の教育機関にするつもりでした。紆余曲折を経て、現在の東京大学医学部につながっていきます。初代学部長(当時は頭取)は大槻俊斎で、玄朴の親友として小説にも登場します。
恒淳
田植えを終えたばかりの早苗です。町なかに
ぽっかり田んぼがあって、稲がおとなしく
並んでいます
佐是様、楽しく読ませていただきました。
今回は、種痘成功、除痘館、高野長英、蝦夷地での大流行等々、展開の速さに没入して読んでいました。
政権中枢に蘭学を認めさせなければ、その発展は望めないでしょうし、そのきっかけを逃さず動き始めた玄朴、機を見るに敏、さすがの政治力と感じました。
江戸時代の庶民に牛痘種痘を理解させることは難しいことでしょうし、私など「角が生える」などと逃げ回っていたことでしょう。種痘普及は多数の医者の努力の賜物だと思います。
ペリー、プチャーチン、ハリスも登場、幕末動乱も併せてどんな展開になるのか、次回以降も楽しみにしています。
いろいろ批判する人もあるようですが、混迷状態の日本を立ち直らせた安倍元首相の功績は大きかったと思っています。ご冥福をお祈りします。
本日は、安倍元総理の御命日です。心よりご冥福をお祈りします。安倍さんは、私と同い年、昭和29年9月の御生れです。私は6月生まれで全く同世代です。
堂々たる政治思想を掲げ、世界に日本らしさを発揮し、大きな足跡を残された大宰相でした。今の混迷する世界情勢に日本がかろうじてやっていけるのも、安倍さんの功績がとても大きいことを実感します。FOIPという政治理念、QUADを形成した構想、中国の本質を見通した視線、安保法制、戦後70年の米議会の演説など、今の日本になくてはならないものばかりです。本当に惜しい方をなくしました。悲しくてたまりません。 合掌